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バルドル
Baldr
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名前は「光り輝く」を意味する「Bal」が語源とされる。
神々から最も愛された神。ナンナとの間に生まれたフォルセティとともに司法神とされ、一度彼が裁きを下すと、それは決して変更されることがなかったという。また彼は善良、賢明にして慈悲深く、その姿も美しかったと伝えられている。
上に述べられたバルドルの性質については主に、「散文のエッダ」の著者であるスノリ・ストゥルルソンによって伝えられている。傲慢で狡知に長けたあのオーディンの息子であるにもかかわらず、「良い言葉でしか語ることができない」ほど、優れた人格を持ち合わせているようである。
しかし、サクソ・グラマティクスによって書かれた「ゲスタ・ダルノム」の中には、わがままで色狂い、おまけに好戦的という全く正反対のバルドルが描かれている。
この矛盾については学者たちの間で昔から議論されてきたが、スノリがアイスランドの資料に頼っているのに対し、サクソはデンマークの資料をもとに自らの著書を完成させているという点はほぼ明らかであるらしい。
確かに、アイスランドで作られたと思われている詩の中には、善良なバルドルについての描写が ─ 主に息子の死を嘆き悲しむフリッグを通して ─ いくつか存在する。
ここから考えられるのは、バルドルはその昔、アイスランドには利益を、デンマークには損失を与えた「誰か」をモチーフにしているということだ。サクソの物語が、デンマークの領有をめぐる戦記でもあったということも、それを裏付けるように思われる。
バルドルを北欧神話版キリストだとする説もあるが、キリスト教徒であるサクソがバルドルをあんなにおとしめるはずがないというのは、少し無理があるだろうか。
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