簡単そうに見えて難しいSDGs

SDGsは「持続可能な開発目標」を意味しており、国際連合によって提唱され、2015年9月25日から27日にかけてニューヨークの国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」で採択されました。SDGsには様々な問題に対する17の目標が設定され、2030年までの達成を目指しています。
SDGsは見かけ上は誰にでも分かりやすく理解できるように設計されていますが、実現するには様々な要素が複雑に絡み合っています。
17の目標について
SDGsには様々な問題の解決を目指して、
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- 健康と福祉
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレをみんなに
- エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任 つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
の17の目標が設定されています。
一見、実現が難しそうな内容が含まれ、2030年までの実現を目指していることから「無理だろう」と諦め気味に受け止めている方がいると思いますが、SDGsは環境保護、ゴミ資源の分別、リサイクルなどと同じように長期的な視点で考える必要がある目標です。
そして、期日を決めることで期日が目標の1つとなり「みんなで取り組もう」との気持ちが芽生えるため「2030年まで」との目標が設定されたと考えられます。
日本人には「もったいない」という教えや考え方があります。それにより、私たちの日々の暮らしの中で知らず知らずのうちにSDGsに取り組み、貢献に協力している項目があるかもしれません。日々の生活の中で取り組める項目を紹介したいと思います。
もったいないの精神で
日常的に節約を意識していると「6.安全な水とトイレをみんなに」「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」にすでに取り組んでいるでしょう。また、自治体などのゴミの分別にしっかり対応しているなら「12.つくる責任 つかう責任」「14.海の豊かさを守ろう」に取り組んでいます。
また、地元で作られた野菜の購入を積極的に行っているなら一部は直接的に、一部は間接的に「2.飢餓をゼロに」「8.働きがいも経済成長も」「11.住み続けられるまちづくりを」「15.陸の豊かさも守ろう」に取り組んでいると言えます。
そして、「そんなに頑張っていない」と感じる方でも日常的に図書館を利用したり、ジョギングなどの運動をしているなら「3.健康と福祉」「4.質の高い教育をみんなに」に取り組んでいると言えます。これらのことから、私たちは知らず知らずのうちに、17の目標のうちのいくつかに貢献しているのです。
SDGsの矛盾
しかし、私たちが「もったいない」精神で日々の生活を送る一方で、SDGsの目標達成には多くの難題や矛盾が存在します。持続可能な社会を目指す取り組みの中で、現実の壁にぶつかることもあります。その結果、SDGsの一部の目標は綺麗事のように感じるかもしれません。
私たちの便利な生活には電力が不可欠ですが、東日本大震災以降、世界的に原子力発電への忌避感が強くなっています。
その結果、化石燃料を利用した発電所の利用が避けられず、便利さと引き換えに「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」を達成できない状況が続いています。そして、世界情勢の変化により化石燃料を含めて、様々なものの価格が高騰し、結果として国民の生活を圧迫しています。
また、地球温暖化などの影響により今後、日本では台風、線状降水帯などによる被害が深刻化する可能性が示唆されています。特に近年、ヨーロッパ、中東では今まで豪雨が降らなかったような地域に豪雨が降り、深刻な被害をもたらす事例が増えており、気候変動への対策は急務と言えます。
「綺麗事だから」「実現しそうにないから」と考えても、私たちを取り巻く状況の変化は止まるわけではありません。「もったいない」の気持ちを忘れずに、そして、自分自身でもできることを見つけて、1つずつ取り組むことで従来の感覚をアップデートしてくことが重要なのではないかと感じています。
SDGsの実現は難しいのか?
SDGsの一部の目標は2030年までの達成は難しいでしょう。だからと言って、達成を諦めるのではなく、SDGsはあくまでも長期的な達成目標と認識するべきです。
日本では1950年代から1960年代の高度経済成長期に公害問題が顕在化し、四大公害事件などが報じられる中で環境に対する意識が高まりました。それらの踏まえ、1971年に環境庁が発足し、環境保全の推進が本格化しました。1980年後半から始まったバブル期などを経て、大量消費社会になり、廃棄物の排出が増大したため最終処分場が逼迫する状況が発生しました。
そこで、政府は1991年に「資源の有効な利用の促進に関する法律(リサイクル法)」が制定され、その後、1995年に「容器包装リサイクル法」、2000年に「循環型社会形成推進基本法(循環基本法)」が制定され、大量消費社会から循環型社会に乗り出したと言えるでしょう。
今の日本人のリサイクルへの感覚、意識は、1991年のリサイクル法の制定から考えると30年以上の時間の中で変化し、芽生えたと考えられます。
人間の考え方の変革にはそれなりの時間が要すると判断するなら、2015年9月に採択されたSDGsが2030年までに達成するのは困難でも、2040年、2050年と長期的な視点で考えることで、時間をかけて1つずつ達成することは可能ではないでしょうか。
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