神話
スヴィプダグ
古ノルド語の叙事詩「グローアの呪文」「フョルスヴィーズルの歌」に登場する人物。父親は小人族・アウルヴァンディル、母親は予言、治癒する力を持っていた魔女・グローア。
「グローアの呪文」「フィヨルスヴィズの歌」に登場する北欧神話に登場する大英雄の1人と言われており、「グローアの呪文」「フィヨルスヴィズの歌」をまとめて「スヴィプダグの歌」とも呼ばれる場合もある。
スヴィプダグは継母の言いつけに従い、彼の妻となる女神・メングロズを探す旅に出たとされている。彼は旅の途中でニヴルヘイムにあった母親・グローアの墓を訪れた際に、グローアはスヴィプダグに苦難を防ぐ9つの呪文を授けた。
その後、アースガルド、アールヴヘイム、ヴァナヘイム、ミドガルズ、ニダヴェリール、スヴァルタールヴァヘイム、ヘルヘイム、ムスペルヘイム、ニヴルヘイム、ヨーツンヘイムの9つの世界を旅し、ヨーツンヘイムにある「暑さを保つもの」との意味を持つリュルと呼ばれるメングロズの館に辿り着く。
ただ、リュルを守る門番・フョルスヴィーズルから
「門を開けるには番犬が好きなヴィゾフニルの肉が必要」
「ヴィゾフニルを唯一倒せる巨人・スルト(またはスルトの妻・シンモラ)が持つ魔剣・レーヴァテインが必要」
「魔剣・レーヴァテインを手に入れるにはヴィゾフニルの尾羽が必要」
と堂々巡りの謎を出されるものの、やり取りの末に、館には誰1人入れないこと、メングロズを救うとされる者しか入れないことを理解し、スヴィプダグは真の名前を明かし、開門に成功する。
スノッリ・ストゥルルソンが編纂した「散文エッダ」「ヘイムスクリングラ」などに、フロールヴ・クラキ王の12人のベルセルクの1人として、スヴィプダグと同名のベルセルクが登場する。
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